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代表コラム

利用と活用の違い

上司を活用しよう、上司をおだてよう、などと言うと、何か姑息な手段を使って、周囲を蹴落とし、出世やのし上がることばかり考えている人のように誤解されるかも知れません。

もしそうだとしたら、恐らく"活用"という響きを、したたかに"利用"するというように思えているからではないでしょうか。

活用と利用では全く意味が異なります。

利用とは、便宜的な手段として使うことであり、利するために用いることです。利するためというのは、自分の利益のためにということです。

自分の利益のために行動する人のことを利己主義と言います。自己の利益を重視し、他者の利益を軽視、無視する考え方です。

このような考え方では、ビジネスは上手く行きません。自分だけが利益を独り占めするような考え方では、部下と上司という関係はもとより、社外に出て取引、交渉するような時には絶対に上手く行かないことでしょう。

利己主義の対義語は、利他主義です。利他主義とは、自分の利益よりも、他人の利益を優先するという考え方です。

ここでは、お坊さんの説法ではありませんから、利他主義を求めるようなことを言うつもりはありません。利用が利己主義で、利他主義は活用だということでもないのです。

活用は、利他主義のように、自分の利益よりも、他人の利益を優先するのではなく、自分の利益も他人の利益も両方考えるというほうが近いと思います。

利用の利するために用いることに対して、活用とは、物や人の機能・能力を十分に活かして用いることです。

利用が自分のための利益を先に考えるのに対し、活用は、相手を活かすことを先に考えるという点が全く異なるのです。活かすということが重要な考え方なのです。活かすことで、結果として利益をもたらすことがあるかも知れませんが、それはあくまでも結果です。

他人を活用するということは、結果として、自分のためにもなるのです。もし、それが利益ということに繋がったとすれば、それはあくまでも活用できたことに対する副産物なのでしょう。

もう一つ、全く異なる見方で、利用と活用ということを考えてみたいと思います。

少し個人的な拡大解釈になってしまうかも知れませんが、企業経営を考えた時、利用を先に考える経営者と、活用を先に考える経営者の二通りにいるように思えます。

ここで言う利用とは、利益です。収益です。どのようにしたら利益、収益を増大させるかを考えるのです。

経営者なら誰でも考えることです。企業である以上、利益の増大を考えることは当然なことです。

しかし、そこには、二通りの考え方があります。

一つは、コストなどの費用を下げることを中心に考えることです。もう一つは、売り上げなどの収入を増やすことを中心に考えることです。

当然、「そんなこと当たり前だ」と多くの経営者は言うことでしょう。恐らく、「どちらか一方ではなく、両方重要なことに決まっている」と言うことでしょう。

しかし、現実には、両方同時には進行しません。両方同時に進めたいことは誰しもが判っていることですが、どちらか先にしかできない事実もあるのです。

例えば、ある事業の収入を増やすために、販促活動や広告費を充実させ、営業力の強化を図ろうと考えます。その時、仮に、同時にその活動の中心となる営業部隊のコスト削減を進めようとしたらどうなるでしょう。

あるいはその逆に、ある事業の収益を上げるために、大幅なコスト削減を進めることとします。日産のゴーン社長が、就任直後にやったことと同じです。

無駄を省き、ギリギリまでの限界利益に注力するのです。その時、ゴーン社長は言いました。「コストは削減するが、新車計画などは変更せず、研究開発費は減らさない」と。

つまり、誰もが考えるように、コスト削減と、売り上げアップの両方を同時進行で行うことをゴーン社長は言ったのです。

しかし、現実に現場で働いている社員はどうなるでしょう。そして、事実として、当時の売り上げは増大したでしょうか。さらには大量の人員を削減し、工場を閉鎖しながら、続々と新車発表ができたでしょうか。

不可能です。そんなこと、働いている人が許してくれるでしょうか。

もし「そんなことはない、可能だ」と言うのであれば、自分の会社の社員の3割をカットして、同時に3割の売り上げを伸ばす方法を教えて頂けないでしょうか。

仮に「それでもできる」というのであれば、なぜそれができるのに、ずっとカットを続けないのでしょう。カットを続ければどんどんコストは下がるはずです。

しかも、それを行いながら売り上げが伸びるというのなら、そんなに楽なことはないでしょう。それならもっとカットを継続すれば良いことでしょう。

さて、話を利用と活用に戻します。

経営者には、利用という利益を先に考える人と、活用という売り上げを先に考える人がいるのは事実です。

このことは、今の政治でも同じです。収益が悪化し、借金が憂いでいるのは一緒ですが、利用という削減を中心とした財政を考える人と、活用という拡大を中心とした経済成長を考える人がいるのです。

つまり、私がここで言う利用と活用の違いは、端的に言うと、減らすことを考えて利益を増やすのか、または増やすことを考えて、その結果として利益がもたらされるかという違いなのです。

前者の減らすほうは、効果的面です。利益を念頭に考えますから、一瞬にして利益を生み出すのは当然なことでしょう。しかし、後者は、機会や成長を拡大、伸ばすことを考えていますから、その結果、利益が直ぐに表れるかどうかは定かではありません。

なぜ、利用と活用の違いをここまで拡大解釈しながら比較するかというと、単に言葉の違いだけでなく、考え方の違いがあるということを理解してほしいからなのです。

例えば、インターネットを利用すれば、直ぐに求めている情報を得ることができるでしょう。これは、ネットを利用することで、時間というコストが削減でき、しかも無駄な費用を費やさずに済んだという利益をもたらしたのです。

それに対し、インターネットを活用するというのはどのようなことでしょうか。簡単に言えば、ネットを通じて情報を得る側から、自分のホームページを持つことで、情報を発信する側になるということの違いがあるのです。

このように利用と活用では全く意味が違います。そして、意味が違いだけでなく、考え方も異なれば、行動までも違うのです。それほどまでに利用と活用というのは違うにも関わらず、その違いを全く理解せずに使用するばかりか、行動まで混同しているかのようです。

(次回に続く)

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堀田 信弘の公式ブログ「活・喝・勝」 http://hottaworld.com を参照してください。

2010年8月17日